FEMAP Professional版、Enterprise版に搭載されているParasolidジオメトリ エンジンには、モデリング エリア(ジオメトリ モデルを作成できる領域)があり、その領域に納まる大きさ(寸法)でモデルを作成する必要があります。
[原因]: モデリング エリア
「FEMAP v7.1 日本語版」および「FEMAP v8.0 日本語版」では、出荷時のモデリング エリアは全体直交座標系の原点(0, 0, 0)を中心に、X, Y, Z座標について最大 “±500” の範囲(※1)、つまり一辺が1000の立方体になります。ポイント1つでもこの領域の外に作成された場合にはParasolidジオメトリ エンジンによるソリッド、サーフェイスの作成、編集は行えなくなります。
見落としがちな例では、すべてのジオメトリ エンティティがモデリング エリアに収まっているように見えても、半径の大きなアークの中心点がエリア外に出てしまっていることがあります。
※1: モデル形状が複雑な場合にはモデリング エリアがさらに狭くなることがあります。
[対処]:
(1)ジオメトリ スケール ファクタの調整
この方法は、新規に作業を始めるときや、CADからジオメトリ データをインポートするとき有効です。FEMAPでモデリングを始める前に、[ファイル]-[初期設定]コマンドを実行し、[ジオメトリ]ボタンを押し、[ソリッド ジオメトリのスケール ファクタ]の値を大きく設定しなおします。
これによりモデルの寸法はスケールファクタの逆数を乗じた大きさになりますので、マテリアル、プロパティ、荷重の値の単位系に注意してください。モデルの大きさとスケール ファクタの関係については後述の[解説]をご参照ください。 
(2)モデル寸法のスケールダウン
この方法は、FEMAPで作業をある程度進めてしまってからモデリング エリアのトラブルに気づき、そのモデルを用いて作業を継続したいときに有効です。[修正]-[スケール]-[...]コマンドや[修正]-[移動-xxx]-[...]コマンドなどを使って、モデルがモデリングエリアに収まるように修正します。
また、メッシュ作成後は、逆のスケールでモデルの大きさをを元に戻すことも有効です。ただし、ジオメトリ荷重を使用している場合は、メッシュだけでなくジオメトリのスケールも元に戻してください。ジオメトリ荷重の展開はジオメトリの寸法を基準にして行われるため、メッシュだけを元の大きさに戻したのでは荷重の展開が正しく行われません。それからマテリアル、プロパティもモデルの寸法と整合の取れた単位系にすることを忘れないでください。
[解説]:
「Parasolidの長さの単位」と「FEAMPのジオメトリ スケール ファクタ」の関係
元々FEMAPには決まった単位系はなく、単位系を設定する機能はありません。FEMAP上の長さの単位をメートルととるかミリメートルととるかは利用者の意識にゆだねられています。一方Parasolidジオメトリ エンジンの長さの単位は “メートル” になっています。つまりParasolidジオメトリ エンジン内ではモデリング エリアは一辺が1キロメートルの立方体ということになります。
長さの単位に関する両者の仕様の差異を整合させるために、FEMAPの初期設定に[ソリッドジオメトリの スケール ファクタ]の項目が用意されており、FEMAPとParasolidジオメトリ エンジン間の長さの変換倍率を設定できるようになっています。
ジオメトリ スケール ファクタは、Parasolidジオメトリ エンジン内の長さ “1.” に対してFEMAP上のモデリングで使用する長さを何倍にするかを指定します。例えば、スケール ファクタを “1000.” にすると、FEMAP上で入力する長さ “1000.” は、Parasolidジオメトリ エンジン内では “1.0” として扱われることになります。同様にスケール ファクタを “39.37” にすると、FEMAP上の “0.0254” は、Parasolidジオメトリ エンジン内では約 “1.0” として扱われることになります。この2つのスケールファクタの例は、「ミリメートル - メートル」、「インチ - メートル」の単位変換(※2)ととらえることもできます。
※2: 冒頭で述べたようにFEMAPそれ自体には単位系はないので、FEMAPのモデリングに限って言えば、表示上の寸法と内部データベースとの長さの倍率変更でしかありません。しかしFEMAP-CAD間のジオメトリデータの受け渡しでは単位変換としての意味を持ちます。
ジオメトリ スケール ファクタによるモデリング エリアの拡張
「FEMAP v7.1 日本語版」および「FEMAP v8.0 日本語版」では出荷時の[ソリッド ジオメトリのスケールファクタ]は “1.0” に設定されています。これは、FEMAPで入力された長さをそのままParasolidジオメトリ エンジンに渡すことを意味します。モデル寸法がモデリング エリア(座標±500以内)に収まるものであればスケールファクタはこのまま “1.0” で何ら問題は起きません。しかし、利用者が長さが2メートルのものを2000ミリメートルとしてFEMAPで入力すると、Parasolidジオメトリ エンジンはこれを2000メートルと解釈し、モデリングエリアの制限を越えてしまうことになります。そこでスケールファクタを “1000.” にするとFEMAP上の “2000.” はParasolid内では “2.” となり、モデリング エリアに十分収まることになります。FEMAP上から見ればモデリング エリアが “±500000” に拡張されたのと同じことになります。 |