CADから取り込んだソリッドを元に、4面体ソリッド要素の自動メッシュ生成を行いたいのですが、うまく行きません。

対処方法などがあれば教えてください。
細長いサーフェイスに注意
CADデータの取り込みからメッシュ生成を行う場合、障害になりやすいものに、切りくずのように細長いサーフェイスがあります。FEMAPではこのようなものを“スライバ”と呼ぶことがあります。

フィレット半径の誤差や微小な段差などで細長いサーフェイスが生じるケースがあります。下図では、目で確認し易いように誤差を大きくしています。


FEMAPのジオメトリ編集機能でこれらサーフェイスを無くすことは困難が伴いますので、事前にCAD側でそれらサーフェイスをなくすことができればベストです。しかし、CAD側でもスライバの除去に対する有効な手段がないことが多々あります。
FEMAP上でのメッシュ生成に適さない細長いサーフェイスに対処する方法をいくつかご紹介します。

ジオメトリ レベルでの対処
 

メッシュ生成レベルでの対処

1. ジオメトリ レベルでの対処
 
1) ソリッド上の形状定義に不必要なエッジやスライバを自動修正(削除)するコマンドが用意されています(3オプションの内、1つはParasolidでのみ利用可能)。

[ジオメトリ]-[ソリッド]-[クリーンアップ]コマンドの中で指定できます。

このコマンドで障害を解消できればメッシュ生成作業は大変簡単になります。


2) 複雑な形状の1つのソリッドを切断していくつかのパーツ分ける(サブデバイドする)ことは大変有効です。編集作業を問題の発生している部分に限定することが容易になります。またメッシュ生成に失敗するサーフェイスを分断するようにソリッドを切断すると、メッシュ生成可能になることもあります。

サブデバイドには[ジオメトリ]-[ソリッド]-[スライス]/[スライスマッチ]/[フェイスに沿ったスライス]/[フェイスの埋め込み]コマンドを使います(場合によっては[和]/[差]などのブーリアン演算コマンドも使います)。


3) [ジオメトリ]-[ソリッド]-[分解]/[スティッチ]コマンドを利用します。

[分解]はソリッドの構成を解いて、ソリッドの構成要素であったサーフェイスを独立したサーフェイスに切り離します(必然的に元のソリッドはなくなります)。

[スティッチ]は[分解]の逆で、複数のサーフェイスから1つのソリッドを生成します。これらコマンドの使い道の1つとして、[分解]でソリッドをサーフェイスに分解し、メッシュ生成の障害になっているサーフェイスを編集(削除・再作成など)した後、[スティッチ]でもう一度ソリッドに構成しなおすことがあげられます。

ただし、問題箇所を含んだソリッドは[分解]/[スティッチ]で元に戻らないことが多く、注意深く限定的に利用することをお勧めします。(サブデバイドした後、問題箇所を含むソリッドに対してのみ[分解]/[スティッチ]を行うなど)


  
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2. メッシュ生成レベルでの対処
 
1) 表面メッシュの作成を他に優先して考えます。FEMAPの4面体ソリッドメッシュ生成は、ソリッドの表面に平面要素を生成した後、その内部にソリッド要素を生成します。ソリッドメッシュが生成できるか否かは、表面メッシュの生成の如何にかかっていますし、ソリッドメッシュの品質は表面メッシュの品質に大きく左右されます。

メッシュ生成で問題が発生している場合は、ソリッドから一気にソリッドメッシュを生成することは諦め、“表面メッシュのみを生成”した後、“表面メッシュからソリッドメッシュを生成”することを試みます。

表面メッシュの生成は[メッシュ]-[ジオメトリ]-[ソリッド]コマンドで[表面メッシュのみ]チェックボックスをオンにすることで可能になります。

表面メッシュからソリッドメッシュを生成するには[メッシュ]-[ジオメトリ]-[ソリッド-エレメントから]コマンドを使用します。


2) [メッシュ]-[メッシュ コントロール]-[フィーチャの抑制]コマンドでサーフェイスの面積やカーブの長さで、メッシュ生成の対象から除外します。

この時、[自動]で行うのが効率的なのですが、抑制するカーブ長、サーフェイス面積の最小許容値をいくつにするかが重要になってきます。目安をつける方法は、[ツール]-[形状特性]-[カーブ長]/[サーフェイス面積]コマンドでモデルの大きさに対して小さ過ぎる値を持っているカーブ/サーフェイスを拾い出し、[ビュー]-[エンティティ検索]コマンドで場所を確認しておきます。これでメッシュ生成の障害になりそうなカーブやサーフェイスを特定し、長さ/面積値の見当をつけます。


3) ほとんどの場合、表面メッシュの編集作業が必要になります。

ソリッドメッシュの生成に使用する表面メッシュは、完全に閉じた領域になっている必要があります。隙間があったり、表面メッシュが交差/分岐していてはいけません。フリーエッジ表示を行うことで表面メッシュの不整合箇所を発見できます。フリーエッジ表示で画面に何も表示されないことが必要です。

また、針のように細長く潰れた3角形要素があるとソリッドメッシュの生成に失敗したり、扁平なソリッド要素が生成されるので、削除/修正が必要です。[ツール]-[チェック]-[ゆがみ]コマンドの[アスペクト比]、[内角]でチェックできます(内角は3角形の場合60度から何度ズレているかを指定します。詳しくはマニュアルをご参照ください)。また、[ツール]-[形状特性]-[メッシュ特性]コマンドの[個々のエレメントについて特性をリストする]チェックボックスをオンにすると、要素ごとの面積がリストされるので、潰れた3角形要素を発見できます。


4) サブデバイドしたソリッド同士の接続面(サーフェイス)をリンクする必要があります。これは最終的な全体のメッシュが完全に1つに接続されるように、ソリッド同士の接続面のメッシュパターンを一致させるためです。サーフェイスをリンクすることで自動的にメッシュパターンが一致します。

メッシュを接続させる必要があるソリッド(たいていすべてのソリッド)に対して、一変に[メッシュ]-[メッシュ コントロール]-[ソリッド上のサイズ]コマンドを実行することで、接続面のサーフェイスが自動的にリンクされます。自動でリンクされるのはサーフェイス形状が一致しているものだけです。

ソリッドのサブデバイドを行う際、切断後に2つのソリッドの切断面が異なる場合は[スライス]ではなく[スライス マッチ]を使うと、[ソリッド上のサイズ]で自動的にリンクされます。例えば直径の異なる2つの円柱が同軸で重なったような形状の1つのソリッドがあったとして、径が変わる箇所で[スライス マッチ]を使って切断すると、大径の円柱の接続断面には“小径の円”と“リング状”のサーフェイスが作成され、大径と小径の円柱表面にある“小径の円”サーフェイス同士がリンク可能となります。




  
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